お た よ り 1

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引退犬ケビンと共に / 神谷睦子 引退犬ファイルの近況 / 山口 香
コラム欄より / 大阪府リタイア犬ボランティア アリサ、また会おうね / ユーザーT.M
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引退犬ケビンと共に
            引退犬ボランティア 神谷睦子


朝・夕涼しくなりケビンや私どもも過ごしやすくなりました。
早速、ペットシーツやタオルを多量に届けてくださり感謝しております。
大変ありがとうございました。
なんとか夏疲れも取れ良い季節を楽しみたいものです。
9月9日でケビンは17歳を迎えました。
私の最大の目標をクリアしてもらったのでホッとしております。
あとは「神のみぞ知る」で淡々と毎日を送っています。
相変わらずよく食べるし自分の要求を知らせてくれる賢い可愛い犬です。

さすがに散歩は娘が来ないと行けそうにはありませんが
(体重が重くなり私の左手が痛くなって慎重にならざるをえません)
そのかわり抱っこと色々とかえて座らせたり敷物を積み重ねて
身体の位置を高くしたりして気分転換に力を入れております。




薬は今までの心臓の薬と目薬ぐらいです。
大も小も今まで通り順調です。
今年で主人76歳、私69歳となりました。
二人ともケビンが天国に導かれるまで健康で入院のないようにと毎日祈っております。
案外、ケビンがいることで元気でいられる気がしております。
今年もまだまだ暑い様ですが皆さんと共に頑張っていきましょう!


コラム欄に心ある文を見つけました!   大阪府  引退犬ボランティア

 引退犬の部屋に度々訪問をさせていただいて、昨年看取ったころのことを心おだやかに 思い出として考えることが出来るようになったこと、御礼申し上げます。
引退後の盲導犬が広く知られることで、環境が少しでも改善されることを願っております。

 さて、先日コラム欄に”盲導犬”と題して温かい心ある文が掲載されておりました。 新聞社に問い合わせて筆者の許可を得ることができましたので、JSDAへの励ましの 文とも思い転記させていただきます。
『盲導犬』                 中島  岳志(インド研究者) 
 私が今春まで滞在したハーバード大学には、東アジアの本を収集したイェンチン図書館がある。日本語、中国語、朝鮮語文献のコレクションは驚くほど充実しており、私は毎日、ここに通って勉強した。
 私と同じく、毎日のようにここを訪ねて本を読みふけっている人がいた。彼女は目が不自由なようで、盲導犬を連れていた。本を目から数センチのところに引き寄せ、食い入るように読み込む姿に、私は勇気をもらい続けた。そして、その彼女の傍らでじっと座っている盲導犬にも、いろいろなことを教えられた。
 おそらくだが、彼女に寄り添う盲導犬には「善きことをしている」という自覚はない。ただ、自分が為すべきことを黙々と為しているに過ぎず、そこにユーザーとの信頼関係を超える価値は存在しない。欲望を抑制しようという思考すら、もはやなくなってしまっているのかもしれない。
 「はからい」や浅ましい心を取り払うことの出来ない私は、この一匹の盲導犬のあり方に、仏教の真髄を教えられた。ふと涙がこぼれそうになる瞬間が何度かあった。そんな私の身勝手な解釈など気に留めることなく、盲導犬はユーザーが立ち上がる瞬間を待っている。
 近年、盲導犬育成のための寄付を装った詐欺が横行しているという。これは、絶対に許すことができない。ライブドアの粉飾決算などとは比べものにならないほど罪深い行為だと思う。
 もし、この詐欺集団のメンバーが盲人になったら、どうするのだろうか?盲導犬を使うのだろうか?
 おそらくだが、盲導犬はそんなユーザーに使われても、必死で自分の為すべきことを為し続けるだろう。障害物があれば、必死でユーザーに伝えようとするだろう。
 道行く盲導犬に教えられることは多い。
引退犬ファイルの近況

引退犬ボランティア  山口 香

           

  ファイル号は平成16年1月12日から立てなくなり、寝たきりになりました。7月12日で1年半になります。生まれたのが元年2月16日で、8月10日で16歳半になります。食事は毎日1キロ以上も食べる大食漢です。元気に長生きしている原因は、胃腸が丈夫で多分心臓等の内臓が立派なのと、冷暖房付きの部屋を一人(頭)じめして、良い手当て(愛情)を受けている為と考えられます。
  畳の上にブルーシート、その上に分厚く新聞を敷いた上に寝ています。チンチンの下に、二つ折りタオルを5枚ほど差し込んでいます。濡らすと「ワンワン」と人を呼ぶか、自分で移動します。オムツカバーだと自分に付いて来るが、この方法が、犬にとって良い運動になっているのが、一番のポイントだと思われます。
訪問者談   

山口さん宅を訪問してきました。
お部屋に入りますと、まず、部屋一面に敷かれた新聞紙と、あちこちの方向に向けられた何台もの扇風機に驚きました。よくお話を聞いてみますと、ファイルがどこに行っても涼しいように、また、どこでおしっこをしてもすぐにかたずけられるようにとの事でした。
おしめではなく、タオルにしている事が、ファイルのリハビリにやくだっているとのことです。
おしっこがでて気持ち悪くなるとあちこち這い回るので、床ずれもぜんぜんないようです。
山口さんはシャンプーが趣味だそうで、ファイルの体もきれいで、においもありません。
ファイルを引き取る時、ひじにできたこぶを見て、「これがこいつの勲章のように思える」
と、おっしゃっていた山口さん。
大変さをいとわず、見た目にこだわらない、ほんとうにファイルの事を考えた介護であるなと、頭の下がる思いで山口家を後にしました。
追記
2005年10月2日
ファイルは眠るように天国に召されていきました。
心からご冥福をお祈りします。
山口さんお疲れ様でした。ファイルありがとう。

アリサ また会おうね

       盲導犬ユーザーT.M
 長い間の思いが叶って、初代の盲導犬オディー(シェパード)と暮らし始めてから40年あまりの月日が流れ去りました。そして今、生活を共にしているのが7代目のニルスです。それなら引退犬の話題には事欠かないと思えるかも知れませんが、実はそうではないのです。
 
 盲導犬の数が少なく、社会の理解もほとんど期待できなかったことは、老犬になるまで引退など考えられない、人にも犬にも厳しい時代でした。そして5代目ローラ(ゴールデンレトリーバー)になって漸く余生をのんびり送れる条件が整い始めました。ローラは生まれ故郷のIさん宅に戻り、愛情いっぱいのお世話を受けて18歳の長寿を全うしました。そして今アリサが引退犬としてMさんのご家族と最高に幸せな日々を過ごしています。
 
 アリサが私の下を離れたのが一昨年の10月10日のことでした。Mさんとは盲導犬として私の所へ来てからずっとおなじみで、旅行にもご一緒したりしていましたから、私もアリサも全然別れの辛さを味わうことなく、アリサは喜んで車に乗っていきました。それから何度Mさんをお訪ねしてアリサにあった事でしょう。そしていつも又次に逢う約束をして来るのです。

 つい先日、その約束を果たしに私はまたMさんのお宅におじゃましました。
お玄関で迎えてくれたアリサは、しっぽをちぎれるほど振るだけでは足りず、体ごと私の足に押しつけてきました。言葉以上の思いを受け止めて私も力一杯アリサを抱きしめました。ニルスにちょっと気兼ねをしましたが私たちの再会の喜びをわかって、いつものような穏やかな表情で見ていてくれたのだと思います。

 引退した盲導犬と、こんな風に喜びあえる使用者はそう多くないのではないでしょうか。それは私の特権であり宝です。Mさんというすばらしい方に巡り会い最高の条件を整えていただいているおかげです。
静かな余生を送るために、老犬ホームは確かに必要でしょう。が、引退したばかりのまだ元気な犬たちにはある程度の刺激が必要だという事を、アリサを見ていて思いました。Mさんのお宅のように、2頭の若いゴールデンのお仲間がいて、一緒に散歩に出掛けたり時には遊び心を奮い立たせたり、みんなでお客様を出迎えにお玄関に飛び出して行ったりすることがアリサをずっと元気にしているようです。どんなに手厚いお世話をうけても、犬たちは仲間といられるのが一番嬉しいのではないかと思います。だからといってどの引退犬もそんな環境の下で暮らせる道理はありません。この頃のように、盲導犬の仕事を本当にご理解下さり、その働きを償ってあまりあるほどの愛情と幸せを与えて下さる方々が増えている事は本当に感謝です。
 
 アリサの幸せは私自身の幸せです。それは盲導犬使用者だけが知る喜びです。

 ニルスは今5歳、10歳になったら一緒に引退しようと約束しています。その約束が果たされる時、私もニルスもこの上なく嬉しく、限りない満足感に満たされる事でしょう。そして40年あまりむかし、盲導犬と共に人生を歩もうと決めた事が間違っていなかった事、その結果、私の人生はすばらしかったと自信を持って言える事を信じています。